第7章 戦利品しか見えない
15分くらい外にいれば服にまとわりついていたあの匂いはかなり薄れていて、あまり気にする程ではなくなっていた。
「おい、中に戻るけど、アンタはどうするんだ?」
すると女は俺の隣にやってきて髪の毛をとった。
「は?」
自分の頭に生えていたはずの髪の毛をズルっととってもとから生えていた髪の毛を手櫛でわさわさと元に戻した。
「気が付かなかったの?」
「…?」
「そうよ」
ダルそうに手に持っているウィッグを抱え込んでため息をついた。
「今日接待だって…」
「騙されたのよ。まさか合コンだなんて…だから派手なメイクをしろっていっていたのね」
はめられたわ、と不機嫌そうだった。
どうやらも上司の代わりにこの合コンに参加せざるを得なかった状態にまで追い込まれてしまっていたらしい。
「長曾我部、これから暇だったりしない?」
「ま、まぁ暇だが…」
「だったらここから抜けましょう?嫌でしょ?またあんなクサい店内で見ず知らずの女共に囲まれてちやほやされるの。それともそれがお望み?」
「そんなワケねぇだろ、あんな店ごめんだぜ…っつーかアンタから誘ってくれるとはなァ?」
まぁね、とは微笑んで店内に戻って行った。
多分主催の政宗に抜けることを言いに行くんだろう。だったら同じくして抜ける俺も政宗に一言告げなくちゃなんねぇ。
折角あったんだし連絡先もらっとくか。