第7章 戦利品しか見えない
「めんどくせーうわぁ、行きたくねぇ…」
会場の目の前まで俺は来た。ここまでは努力できたと思う。
だが問題は店内の様子だ。
俺は甘ったるい雰囲気が得な方じゃねぇ。寧ろ苦手だ。
だが外から見るに中にはめかし混んだ女どもや、その女にギラギラさせた目を向ける男集団がいる様子がうかがえる。あの中に入っていく勇気は生憎持ち合わせてない。
だが…ここで俺は引き下がるわけにはいかない。なんせ社長サマ直々に俺に頼んできたことだ。真田だといえ今は社長。俺の方が身分は下なわけで、顔に泥を塗るわけにもいかない。
嫌でもここは出なければならねェ、そうだ、コレが終わるまでの辛抱だと思っていれば何とかなる。
俺は勇気を振り絞ってその店に入る。
「いらっしゃいませ」
「…参加者なんだが」
「では名前と連絡先をお願いいたします」
礼儀正しい店のオーナーらしき男は俺にペンと紙を渡してきた。
名前、電話番号、住所を書き込めばその店員は店の奥に案内してくれた。
ワインの匂い、料理の匂い、香水の匂い、混ぜ合わさったその空気は淀んでいてさすがの俺もさっさと家に帰りたいと思ってしまった。
俺が入店してから数分で店内が明るくなった。
「記念すべき第一回目の合コン、始めるぜ!」
パッと小さな舞台に明かりが灯るとそこには見慣れた奴がワイン片手にセリフをしゃべる。
「主催はこの俺、伊達政宗だ。参加者は全員で…16か、結構多いな、まぁ楽しんでけよ!」
おぉーっと皆嬉しそうに片手を上げる。纏める力ってのは劣ってはないみたいだ。
すると舞台にいた独眼竜からライトも外され、指定の席に移動し始めた。
8人ずつ机を囲み、自己紹介を始める。
名前、年齢、職業、趣味なんてものをツラツラと並べ、それをまず女共が聞いていく。その次に女共が同じような事をしゃべる。
それが30分くらい続き、だるくなってきた頃を見計らってかフリータイムってのが始まった。