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戦利品は己の手で:続

第4章 戦利品との夏休み



「じゃあよ!ちょっとここで待っててくれ、今から家に帰って車とって来るわ」

「そっそんなことしなくてもいいわよ?!」

「車じゃ運びきれなくなりそうだしな」

にここで必ず待つように念を押して俺はみせを飛び出した。
バイクに飛ぶように跨って法律に引っかからない程度の最高速度で道路を走り抜けた。勿論メットはちゃんとかぶってる。
俺の車はワンクルのようなものだ。
俺が買ったわけじゃなくて、俺の祖父が俺の為に一人暮らしする時に買ってくれた車だ。
感覚が鈍っちまってるのか一人暮らしだってのにでっけぇワゴン車を買ってきやがった。お蔭で家具を買うときとかはそんなに困らずに済んだけどな。自家用車で家具を家に持ってくるなんてかっこいいじゃねぇか。
…まさかこんな時に役に立つとは思っていなかった。本当にじいさんには感謝しなきゃなんねぇ。

「っしゃ、いくか」

車の中にあった不要な物を引っ張り出して消臭スプレーをぶちまけてタバコの匂いを消す。5分喚起させておけばある程度匂いは消えるし、消臭効果もあってか鼻につく嫌なにおいはなくなった。
また来た道を戻ってあのカフェの目の前に車を止めて、中に入る。
カラン、と心地いい音が鳴り、席に向かうとは音楽を聴きながら本を読んでいた。
俺が来たことに気が付いてないのか目の前に座っても読むことはやめず本をめくっている。
が新しく頼んでいたであろうキンキンに冷えたオレンジジュースはもう溶けた氷の水と混ざって薄くなっていた。

「…?」

「……」

声をかけても無反応ってことは本当に聞こえてねぇんだな。
仕方ねぇから、無理矢理イヤホンを抜き取って自分の耳に差し込んでみた。
はようやく気が付いた、というかすっげぇ驚いた顔で俺の事を見てた。

「んだよ、気が付かねぇアンタが悪ィ…っていうか、これ、好きなのか」

「あっ、そ、そうよ」

が聞いていた音楽は少し前から曲が売れるようになった若いバンドの新曲だった。俺もソイツ等には目をつけていてて結構気に入っていた。
…っていうか、そのメンバーには慶次もいるんだが。

「このバンドのメンバーの慶次いるだろ?そいつ俺と友達なんだよ」

「えぇッ!す、すごい!」

は興奮した様子で本を鞄に仕舞って笑顔を見せた。


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