第3章 猶予
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まだ外へ出るのが怖かった私にとって、アヤト君の「家から出るな」という言葉は凄くありがたかった
(見ず知らずの私にここまでしてくれるなんて、優しいな…、アヤト君…)
それから私はアヤト君の家に居候させてもらうことになった
居候といっても、住人のアヤト君より私の方が家で過ごしている時間は長いけど…
アヤト君は〝アオギリの樹〟という喰種集団に所属していているらしく、そのアジトに居るのがほとんどなので、家へ帰ってくるのは2日か3日に一回で、寝泊まりするのは5日かに1回ぐらいだった
(〝アオギリの樹〟か…。一体どんな喰種がいるんだろう…)
私は、自分を見境なく襲ってきた喰種と、アヤト君という喰種しか知らない…
(これから色々と知っていかなきゃいけないことが多そうだなぁ…)
自分の失くした記憶を取り戻すために…