第3章 猶予
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これまでの経緯を話し終えた友香は俺を真っ直ぐ見つめて礼を言ってきやがった
その瞳は、まるで俺を善人だと信じ切ってるようだ
(馬鹿か?コイツは…)
コイツの話が本当なら、俺はコイツの存在をアオギリに報告しなきゃならねぇ
人間から喰種にする実験…、前にタタラさんがそんな話をしていたような気がする(普段、あまり話を聞いてないからウロ覚えだが)
けど、今はアオギリも白鳩の件で色々と忙しく、ゆっくり話している暇がない
だから、コイツは俺ん家で監禁して、アオギリが落ち着き次第、タタラさんに報告だな
「お前、どうせ行く当てねーんだろ?」
「うん…」
「暫く、俺ん家にいろ。分かったか?」
「良いの…?」
「あぁ。その代わり、ぜってー外に出んなよ」
「ありがとう!!」
満面の笑みで何の疑いもなく礼を言うコイツに、少し胸がチクンと痛んだような気がした