第3章 猶予
アヤト君に出逢わなかったら、私はあの地獄のような日々の繰り返しだった
喰種はただの人殺しの獣としか思えなかったし、そんな喰種のような存在になってしまった“自分”が嫌だった
でも、それは人間側のことしか考えていなかったからだ
私はたまたま人間に生まれただけで、もし喰種として生まれていたら、きっと私も普通に人間を喰べているんだろう
だって、そうしないと生きられないのだから
だからといって、喰種が人を殺すのも、人が喰種を殺すのも、肯定する訳じゃないけど…
こう思うのは、私が所謂“半端モノ”だからだろうか…