第3章 猶予
これまでの経緯を話し終えた私は、一呼吸置いて、真っ直ぐアヤト君の目を見つめる
「アヤト君みたいな喰種は初めてだ…。私を殺せるのに殺さなかったし、寧ろ助けてくれた…。アヤト君のおかげで、今は“死にたい”よりも、もっと喰種のことを…、“自分”のことを知りたいって思える…。本当にありがとう」
「だから、てめぇの為じゃねぇって言ってんだろ…」
アヤト君はソッポを向きながら、無愛想に言う
(それでも助けてくれたのに代わりはないよ…。私を真っ黒な暗闇の中から引き摺り出してくれたのは、紛れもないアヤト君だもん…)