第2章 暗闇
それからの日々は地獄だった
まず、喰種の飢えは我慢でどうこうできるものではないということ
そして、飢餓状態になると必ず“誰か”に体を乗っ取られ、気付けば襲ってきた喰種を皆殺しにしていること
無意識にその死体へ手を伸ばし、肉塊を頬張っていること
“食事”をすると飢えが収まり、自分に体の感覚が戻ってくること
“私”にとってはどれもこれも地獄だった
唯一の救いは、まだ人間を襲ってないってことぐらい
たぶん、人通りの少ない所ばかり選んで過ごしているからだと思う
それでも、いつか“誰か”に体を乗っ取られ人間を襲ってしまうだろう
今はたまたま運良く人間に出くわしていないだけで…
そのことを考えると、更に絶望感に打ちひしがられた