第1章 生還
「……とりあえず、お前風呂入ってこい」
友香は血塗れ(半分俺のせいだが)で、髪もボサボサ、何日か風呂に入ってないような、そんな姿だった
「聞きてぇことは山程あるが、それは風呂の後だ。不潔女」
「え、でも…着替えも無いし…」
「チッ…」
俺はそのへんのクローゼットからてきとーにTシャツと短パンを取り出し、コイツに投げ渡す
「ありがとう…」
「さっさと入ってこい。出てすぐ右だ」
部屋のドアを指差しながらそう言うと、コイツはもう一度礼を言って、部屋から出て行った
〝最近、11区の喰種を殺しまくってる奴がいる〟
アオギリにそんな噂が回ってきて、てっきり白鳩(ハト)の連中だと思ってたら、まさか女の元人間喰種とはな…
(もしかするとタタラさんが前に言ってた、“アレ”か…?)
さっきは頭に血が上って、そんなことを考える暇がなかったが、冷静になって考えてみれば、コイツの“元人間”っつーのが本当なら、アオギリに報告しなきゃなんねぇ
(洗いざらい喋らすか…)