第1章 生還
「そこにあなたが現れた…。あなたは他の喰種と比べものにならないぐらい強くて…」
「俺に殺してもらおうってか…」
「うん…。だから、ありがとうって最後に言ったつもりだったんだけど…」
別にコイツの特殊な今の状況に同情した訳じゃねぇし(する気もねぇ)、元人間なのが胸糞悪ぃのは変わんねぇ
ただ…、今は“喰種”ならすぐに殺す必要も無ぇかと思っただけだ…
「ふざけんな。だから、何でテメーのために俺様が殺してやんなきゃなんねーんだよ。そんなに死にたきゃ、俺の気が向いたときにいつでも殺してやる」
「フフッ、ありがとう…。でも今は“喰種”のことをもっと知りたいって思ってる。あなたみたいな喰種もいることが分かったから…」
そう微笑みながら言うコイツが、“人間を知りたい”とか言う馬鹿姉貴と被って、反吐が出そうだった
「チッ…」
けど、不思議とさっきみたいに殺してやろうとも思えず、モヤモヤした感情だけが残った