第1章 生還
しばらくすると、ガチャ_という扉の音がして、風呂上がりの友香が部屋へ戻ってきた
「っ…!」
「……アヤト君、どうしたの?」
ボサボサな髪と汚れのせいで分からなかったが、コイツは俺が思っていた以上に顔が整っていたらしい
「んでもねぇよ…」
「そう…。お風呂と服、本当にありがとう…」
微笑みながら言う友香に、俺は目を逸らしながら「別に…」と返した
(そういや、何で俺コイツに“アヤト君”なんて呼ばれてんだ。普通“アヤトさん”だろ)
と思ったが、そこまで糞悪い気もしねーし、そのままで良いか…と自己完結した
「そんなことより…。お前の今まで何があったかを覚えてるだけ全部話せ」
「分かった…」
それから、コイツは少し震えた声で今までの経緯を話しだした…