第1章 生還
「ゲホッ…、ハァ…ハァ…、なん、で…?」
喉に手を当て、今だ苦しそうに息を整えている女が俺の方を見る
「……に、……ってんだよ…」
「え?」
「何に謝ってんだよ!!クソがッ!!」
思わず叫んでしまった俺に、コイツは目を見開いて驚いている
そして、暫くの沈黙の後、息が整ったコイツは静かに喋り出した
「あなたの言葉を聞いて、私“人間”側のことしか考えてなかったなぁと思って……。見下したつもりはなかったの…。だから…、ごめんなさい。ただ、それでも私は元人間で…。記憶が無いままこの体になってしまって、外を歩けば喰種に襲われて…。何もかもが、ただ怖かったの…」
コイツは酷く怯えたように肩を震わせていた
「それなら死んだ方がマシだと思って、他の喰種に襲われたときも無抵抗でいたんだけど…、気付けば、逆に殺してた…」
そこまで言って、伏せていた目を今度は俺に真っ直ぐ向ける