第13章 死神
「天使になれなかったら、そのまま死ね」
この世に神様はいない。悪魔はいるのに、神様はいない。天使? そんなもの……いるわけないじゃないか。
「やめてよ――ッ!!!」
現実なんていらない、誰も私を助けてくれない。いい子でいようと頑張ったのに、愛してくれなかった叔母様。最初から、私は両親が最後に与えてくれた権限の為だけに嘘の仮面で大事にされて、それでそれでそれで……!
誰も私のことなんかいらなかったんだ! 叔母様も叔父様も皆、皆、皆、地位とか権利とかそういうお金が欲しくて私はその入れ物でしかなかったんだ!!
全部嫌い、皆嫌い、ぜ――んぶ消えてなくなってしまえッ!!!
「おい、嬢ちゃんの様子どうだ?」
「声にならないくらい痛いみたいだぜっ!! そりゃそうだよなっ! このエンジェルドラッグを投与されると、急激な苦痛と発熱が引き起こる。でもな、それに耐えられた者だけが天使になれるんだよっ!!」
苦しい、痛い、熱い、身体の全部が痛い。突然の発熱のせいだろう、頭はぼうっとするし意識はどんどん遠ざかって朦朧としてくる。怖いよ、嫌だよ、私が私でなくなっちゃうみたいで嫌だよ誰か……っ、誰か助けてよっ!! ねぇ! ねぇってば!!!
悪魔でも死神でもなんでもいいから私を助けてよっ!!!
「それじゃあ、生きてたらまた会おうぜ、嬢ちゃん」
扉は固く閉ざされた。淡い蝋燭の灯りだけが、この場所を照らす。地にのたうち回る私には、そんなことどうでもいいのだけど。
「あら、また会ったわね。あんた」
「っ――……!? あ……がッ」
「喋らない方がいいわよ。その方が、死ぬのも少し楽になるわよ」
死ぬ? 誰が死ぬの?