第13章 死神
「わかってないって顔ね。いいわよ、教えてあげる」
僅かに視界に入ったのは、赤い髪に眼鏡をかけた……あの人だ。図書館で出会った、人。
「アタシはグレル・サトクリフ。あんたの魂を狩りに来た、死神DEATH★」
「ぐ……っ」
「だから、あんたこれから死ぬの! 少しでも楽に死にたきゃもう喋んじゃないわよっ」
悪魔の次は死神? ははっ、冗談きついわよ。誰が死んで……堪るもんですか。
グレルさんは、鉄格子をすり抜けて私のすぐ目の前にしゃがみ込んだ。
「無様ね、あんた。でもね、赤が好きなアタシとしてはあんたの瞳、意外と気に入ってたりするのよ? 執行時刻まではまだ、日もあることだし……アタシの気まぐれで死ぬまでここにいてあげてもいいわよ。サービスよサービス! 有難く思いなさいよ」
喋れないとわかっているのに、捲し立てるように言い終えるとグレルさんは腰を下ろして眺め始めた。見てないで、助けてほしい。ああでも死神だから、出来ないのか。
「あんたの生い立ち、その他諸々リストで読ませてもらったけど、ほんと大したことない人生送ってんのね。苦しいのが嫌なら、せめて今ここでアタシのデスサイズで殺してあげてもいいわよ?」
大きなチェーンソーを取り出して、その刃を私に向ける。
「ぐ……れ……っ、る……さ」
「……何よ」
不愉快そうに私を見下ろしている。苦しい、楽になりたい。でも……。