第13章 死神
「ミカエル何処かな……」
「見つけた」
誰かの声と共に、私は口を塞がれ同時に意識を失った。
冷たい、痛い、寒い。それ以外は……何だろう?
瞼を開ければ、牢屋のような暗くて冷たい鉄の部屋で目が覚めた。ここは……どこ?
「目が覚めたみたいだな、お嬢ちゃん」
「アルビノか……こりゃすげぇ、まさに理想の”天使”だな。ひひっ」
怪しい男達が、鉄格子越しに私を見下ろした。動こうと身体を動かしたら、足元で鎖の音がした。鎖……? 右足首に、足枷がはめられていることに気付いた。
何、一体これは……何が起きてるの?
「だ、出してよ! こんなことが許されると思ってるの!?」
「はあ? 何能天気なこと言ってんだ、この嬢ちゃんは」
「あっははっ! お笑いもんだぜ!」
下品な笑い声。怖い、嫌だ、ミカエル……!
「嬢ちゃんは今から、天使になるんだ」
「何それ……死ぬの?」
「さあ? 運が良ければ、死なないんじゃないかなぁ?」
「やっ……ここから出してっ!!」
天使って何、どういうこと? わけがわからない。頭の中がぐるぐる巡って、思考が止まる。ミカエルはどこにいるの? なんで傍に来てくれないの? どうしよう、どうしよう……っ。
「大丈夫だ。天使になれたら、きっと皆嬢ちゃんを愛してくれるよ」
「愛し……て……?」
「そうだよ。だから、早く天使になろうね」
やめて、やめてよ来ないでっ!! 腕掴まないで! 何するの!? その手に持ってる注射器は何? まるで……薬みた……い。
「エンジェルドラッグって知ってるかい?」
「……っ」
「その反応は、知ってる顔かな? 君なら今度こそ……きっと、天使になれるよ。ああでも……」
男はにやりと笑って、弱弱しい抵抗を嘲笑うように、私の腕に注射器の針をあてた。