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黒執事 Blood and a doll

第13章 死神



「あんた、ママとパパは?」

「いないけど」

「はあ? その目立つ容姿で一人? 冗談言ってんじゃないわよっ、あんたその容姿が今裏社会でどういう値段ついてるかわかってるわけ?」

「ね、値段……?」

「これだからガキは!! ああ、もうわかったわよ。いい? アタシから離れるんじゃないわよ雌豚」

「ちょっ、ちょっと!?」


 よくわからないまま、強引に赤髪の男……? なのか、女なのかよくわからない人に連れられ、図書館の中をぐるぐると歩き回り始める。嫌な視線を未だ感じる、後ろから足音がする。怖い。

 ぎゅっと手を握れば、その人は視線だけ私に向けた。


「何怯えてんのよ……このグレル様がいる限り、死にはしないわよ」

「死ぬとかそんなの……怖すぎる」

「そう? 別に死ぬことは大した恐怖じゃないでしょ。中途半端に死ねなかった時の方が、よっぽどアタシは怖いわ」

「……どっちも嫌かも」

「あんたわがままね」


 一通り歩き回ると、嫌な視線はいつの間にか消えていた。グレルさん、という人は大きな溜息をついて手を離した。


「ガキのお守りする為に図書館に来たんじゃないっつーのよ」

「ごめんなさい……」

「何勝手に謝ってんのよ。で、保護者とかいないわけ?」

「執事と一緒に来たんだけど……探し物があるとかで、いなくなっちゃって」

「ふぅん。その執事も酷い奴ね、あんたみたいな目立つ容姿を一人にすればどうなるかくらい、大人ならわかりそうなものなのにね。あんた、昔からあんまり外へ出たことないでしょう?」

「太陽の下はよくないから、あまりないわ」

「あっそう。世間知らずは命取りよ! 気をつけなさい」

「ありがとう」


 まさか、この容姿のせいで危険な目に遭うとは思わなかった。

 グレルさんは用事があるらしく、これ以上一緒にいれないからと颯爽と走り去った。あ、ここ図書館だから走っちゃ駄目なのに。

 一人でいるのはよくないってことは、ミカエルを探した方がいいのかな?

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