第13章 死神
ミカエルに連れられ、再び馬車へと戻る。次は一体どこに行くつもりなのだろうか? 馬車に揺られながら、自分一人だけがまだ何も知らないというだけで少しずつ不安の種が芽を出し始める。
次に着いたのは、大きな図書館だった。
「ねぇ、ミカエルってば!」
「ここで少し、見たい過去の記事があるので、お嬢様はお気軽に館内でお待ちください。本を読んで下さっても構いませんよ」
「わ、私も何か手伝うって言ってるでしょ!」
「いえ、今しばらくお待ちください」
にっこりと有無を言わさぬ微笑みが、私に釘をさした。いいから大人しくしていろと、そう言われた気がして心なしかしゅんと心が沈む。
「どうせ、私は頼りないわよ……」
「……そんなことは御座いませんよ。ただ、こういう情報集めは私にお任せ下さい。後に、お嬢様のお手が必要になりますから」
ああ、上手く丸め込まれた気がする。ミカエルはそそくさと館内の奥へと、姿を消した。執事とは一体……と心の中で呟きながら、初めて来る図書館を仕方なく探索することに。
小説でも読もうかな……。
ふと、手を伸ばした先に重なる様に、私とは違う別の手が伸びてきた。
「あ……」
「ん? あんた、この本が読みたいわけ? 小娘の癖にセンスが微妙ね」
ふんっと鼻で笑われた。し、失礼な人ね! どんな顔の人なのか見てやろうと、キッと睨み付けるように相手へ向き直った。
「……赤い、髪だ」
「何よ! 珍しい? そういうあんたこそ、珍しいわよ。パールみたいな髪に、赤い瞳なんて。アルビノ? ほんとにいるのね。通りで周りの奴らがちらちらこっちを見てるわけね」
「え……?」
全然気づかなかった。周囲に視線を配れば、確かにこちらを見つめる人達が何人かいる。その中の数人は、なんだかこちらの様子を伺っているようにも思えるけど。なんだろう。