第13章 死神
「えっと、私も一緒に情報集めをするわ! だってこれは、私に来た大事な依頼ですもの。ミカエル一人に任せるだなんて無責任なこと、出来ないわ」
そう微笑んで答えると、ミカエルは一瞬間をあけて「わかりました」と返答してくれた。私達はすぐに外出の準備を済ませ、馬車で街へと出向くこととなった。
活気に溢れる街、こんな場所で本当にドラッグのやり取りなんてされているのだろうか?
馬車の窓から見える景色は、私の寂しい屋敷とは違って煩い程に賑やかだった。彼の手を借り、馬車から降りるとそこま小さなカフェ。
「ここの店主が、有名な情報屋という噂です。それなりの金額を支払えば、ある程度情報を手にすることが出来るでしょう」
「ミカエルって物知りなのね」
「伊達に貴女より、長く生きていませんからね」
店内へ入ると、ハンサムなお兄さんんがグラスを綺麗に拭きながら、こちらへ視線を向けた。
「ああ、いらっしゃい」
「少し宜しいでしょうか?」
ミカエルはすぐさま店主に近づくと、何やら私に聞こえない声で内緒話を始めてしまった。暇だなぁ……。店内は暖かみのある雰囲気と、穏やかで静かなところがとても落ち着く。お客さんも多くない。ほんのり苦い珈琲の香りが、鼻を掠めた。
「お嬢様、用事は済みましたので行きますよ」
「えっ、もう!?」
「はい。長居は無用ですよ」
店主の方へ目を向ければ、軽く会釈しただけで興味がないとでも言いたげに、すぐに仕事へ戻ってしまった。一体どんな話をしたのかしら?
「ミカエル……」
「お屋敷に戻られてから、色々とお話致しましょう」
なんだか、私はまだ何を出来ていないような……。