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黒執事 Blood and a doll

第9章 混乱



「あそこでは一体何が行われているの?」

「アリスも興味ある? すっごい面白いんだよ。見ていこうよ」


 アロイスに連れられ、アリス達は人だかりを掻き分けながら、先頭の方へと移動することに成功した。壇上に上がる、男。意気揚々と話し始める彼の言葉に、アリスは耳を傾けていた。


「私の名は、リアン・ストーカー。人間誰しも、健康が一番! 若くて美しく……健康的な身体。これに勝るものはないとも言える。だが、克服できない最大の不健康が、残酷にもこの世に存在している。それは……死だ!!」


 リアンが黒い布が被せている何かを、壇上へと台車で運ぶ。その布を剥ぎ取ると、中からは漆黒の棺桶があった。


「棺桶……? 一体何をするつもりなの」


 アリスの疑問の声が掻き消えるほどに、リアンは熱弁を続けた。ゆっくりと控えていたリアンの協力者と思われる男達が、棺桶の蓋を開けた。そこに眠るは、白魚のように青白い肌をし異臭を放つ女の身体。


「っ……何、この異臭は」

「姫様。ハンカチをどうぞ……これは、腐乱死体と同じ異臭。恐らく、死体で間違いないでしょう」

「どうして死体がこんなところに」


 リアンは集まる人々に向けて、言い放つ。


「彼女の名は、マーガレット・コナー。先日不運な事故で命を落とした幼き少女だ。彼女に訪れた克服できない最大の不健康! しかし、私はこの克服についに成功したのですっ!! 私は今日、彼女を死という不健康から救済するのですっ!」


 彼が不死鳥のポーズを決めた途端、何やら怪しげな装置が起動される。そのエネルギーは、どうやら死体であるマーガレットへ注がれているような。

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