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黒執事 Blood and a doll

第9章 混乱



「貴様、何者?」

「私ですか? 私は……」


 一瞬、眼鏡が光った気がした。

 アリスが達が見たものは、信じがたい現実だけだった。


「不死鳥(フェニックス)!!!」


 華麗にポーズを決め、クロードは顔を上げた。そのあまりにも美しく……いや、間抜けなポーズにアリスは心なしかもう帰りたい気分に追い込まれた。無表情なまま、クロードを見守ると……。


「同志よっ! 不死鳥(フェニックス)!!」


 警備の者達までもが、クロードと同じく荒ぶる鷹のポーズを決め不死鳥と叫んだ。


「アリス、僕に続け!!」


 アロイスは颯爽とクロードの後を追うように飛び出す、一気に警備の視線が彼へと向けられる。しかしアロイスもまた、躊躇うことなくやり遂げていく。


「僕も仲間だ! 不死鳥(フェニックス)っ!!!」

「同士よぉおおおおおっ!!」

「(どうしよう……)」


 異様な盛り上がりを見せる彼らを無視したい気持ちで溢れたが、セバスチャンが不意にアリスをお姫様抱っこして連れ出す。


「こ、こらセバスチャン!」

「このままでは埒があきません。彼らに続きましょう。行きますよ、クライヴさんっ!」

「命令しないで頂きたい」


 三人が華麗な不死鳥を見せたことは、言うまでもないだろう。









「あっはははっ!! 間抜け馬鹿トリオ!!」

「よし、アロイスその可愛い顔を貸しなさい。私が美しい痣を作ってあげるから」

「おやめください、姫様。とりあえず彼らのお陰で潜入できたのですから……」


 中はかなりの規模の広間に、様々なゲームが用意されていた。中でも、群を抜いて一層人を集めている場所があった。

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