第8章 駒鳥
「ねぇねぇ、それよりアリスに見せたい物があるんだ!」
「見せたいもの……?」
「そう。アリスは、人形って好き?」
「嫌いではないと思うけど……」
「じゃあ、来て!」
アロイスに連れられ、アリス達は会場を後にする。
一体彼が見せたい物とは何なのか? アリスは警戒しながらも彼に手を引かれていた。ふと、クロードに目を向けると何故か目が合う。まるで、獲物を品定めするかのような瞳にアリスはすぐに目を逸らした。
クロードの口元は、にやりと歪んだことを知る由もなく。
「ここだよ」
「ここ……は」
辿り着いた先は、警備が厳重にされていた例の部屋の前だった。
「僕はただの会員なんだけど……アリスは特別だからね? 一緒にいれてあげる」
アロイスの不敵な笑みが何を物語っているのか……その場にいた誰もが、静かに息を呑んだ。