第4章 襲撃
「そうですか、ではじっくり慣らしていくと致しましょう。貴女が痛くないように……優しく、甘く、もう二度と私を拒絶したりしないように」
「っ……」
耳元でそう囁くと、赤く艶やかな舌でセバスチャンは彼女の耳を舐めた。
「……ひゃっ、なっ何するのよ変態っ!!」
「変態? アリス様はお口が悪いですからね、こうして前とは違うやり方で……躾をして差し上げているだけですよ」
「何が躾よっ! あんたは私の執事じゃないって何度言えば理解するわけ!?」
「理解しておりますよ。だからこそ、こうして貴女の言葉に逆らっている、違いますか? もし私が貴女の執事なら……まず確実に、こんなことはしないでしょう」
彼女から離れると、セバスチャンは懐中時計で時刻を確認して「そろそろいいお時間ですね」と呟くのだった。
「私がいなくなったことで、壊れでもしましたか……? アリス様」
「……っ」
アリスは力いっぱい彼の頬を打った。セバスチャンならば、その手を止めることさえできただろう。けれどそうしなかった、それによりアリスはより一層憎たらしそうに相手を睨み付けた。
「私を侮辱するお前なんか、嫌いよ……っ」
「それは昔からでしょう」
セバスチャンは会釈すると、部屋出て扉をしっかりと閉めた。室内の方から、彼女の泣く声は聞こえない。