第27章 楽園
「な……っ!?」
アリスの追撃に、グレイは更にそれを避けると、まさか……という顔でアリスを見た。
「アリス、君は"銃"しか使えないんじゃないの!?」
「……誰が"銃以外は使えない"って言ったの?」
不敵に笑んだアリスにセバスチャンが姿を現し、アリスの背後を守る様に立つ。
「私がアリスの執事だった頃、体術に銃の扱い方、当然剣術も教えました。彼女は一通り何でもできますよ? アリスが剣術を使わなかった理由は容易に想像できますが」
「どうしてなの、アリス」
「……剣を使うと、セバスチャンのことを思い出すからよ。教えてもらったことを、思い出すから。銃はクライヴにも教えてもらっていたし、ヴァインツ家に伝わっていた家宝は二丁の魔銃だったから」
「それだけの理由で……」
レイピアを握り締め、アリスはグレイに堂々と立ち向かう姿勢を見せる。赤い薔薇の庭が、まるでアリスを際立させるように宙へと散る。
「でも、ボクの方が剣術は上だと思うよ?」
「そうかもね……でもっ」
アリスは突き攻撃を出し、グレイを牽制する。グレイは心なしか、舌打ちをしていた。
「貴方を私に近づけないようには出来るわよ?」
「……時間切れだよ、アリス」
グレイのその言葉を合図に、一斉にアリス達に向かって化け物の軍団が押し寄せてくる。グレイはすばやくその場から退散し言葉を残していく。