第27章 楽園
「歪んだ肉人形(ビザール・ドール)。ボクの新しい玩具だよ、凄いでしょ? ああ、君達は一度見たことがあるんだったね。ならその脅威はわかっているね? ここで死にたくなかったら来るんだ、アリス」
あくまでアリスを奪うつもりのグレイ。セバスチャンは構えるが、アリスによって止められる。
「アリス……?」
「そこで庭に化け物が入らない様に排除してきて。ここは私が」
「しかし……」
「私を誰だと思っているの?」
「……わかりました」
セバスチャンはその場を離れる。
「変なことをするね、アリス。あの執事がいれば君はボクに殺される心配さえもないのに」
「私は彼がいなくても貴方に殺されないし、勝手に私の最後を決めないでほしいわね」
アリスが拳銃を構える。しかし、グレイの剣の腕は本物だ。スピードもある、流石のアリスの銃も間に合わない。
「くっ……」
「まぁ、いいか! 半殺しにしてボクの傍に置いてあげるよっ!!!」
グレイの剣が振り下ろされる。
アリスの瞳に、銀色の刃が映り込む。グレイ越しに、こちらへ向かって来るレイピアを見つめた。
「うわっ、何!? げっ」
「グレイッ!!」
咄嗟にグレイがレイピアを避けると、流れるような動作で顔の横を通り過ぎようとするそれを、アリスは掴む。――そしてグレイの心臓に向かって一直線で切っ先を突き出す。