第25章 真実
「……これで平等、ですか」
「そうですね」
互いに剣を一つずつ持つ形となった。セバスチャンも剣を握り、構える。互いに睨み合って、動かないまま。
「まさか、このような形で対峙することになるとは思いもしませんでした。クライヴさん」
「そうですか? 僕は、いずれこうなるとわかっていましたよ」
二人の譲らない攻防戦が再び始まる。ほぼ互角とも見て取れる戦いは、遠くで見守っていたアリスとシエルにも緊張を感じさせるほど。
「なぁ、アリス……」
「どうしたの、シエル」
「お前は……自分の執事の本性を考えたことはあるか?」
「……裏も表も、どちらでもいいと思ってた。私の願いを叶えてくれるのなら、たいした問題じゃないって」
「そうだな……僕もそう思う。僕らには理解できない執着を見せて、想像しえない卑劣な思考を持ち合わせながら息を殺して、捕食の時を待つ。それでも……君はあいつを、クライヴを……未だ信じていると言えるのか? ただの、獣同然だとしても?」
アリスの真紅の瞳に、クライヴの姿が映る。
「だって……クライヴは、私がただのアリスになっても傍にいてくれそうでしょ?」
困ったように笑うアリスを見て、シエルはもう何も言えなくなってしまう。きっとそれは、その通りだからだろう。先程のクライヴの言葉を聞いていたのだから。