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黒執事 Blood and a doll

第3章 一夜



 時計は約束の時刻を指す。クライヴは息を吐くと、懐中時計を閉じた。


「ようこそ! シエル・ファントムハイヴ伯爵。お待ちしておりましたよ」
「うちの執事が無礼を働いたみたいで、すまなかった。これはそのお詫びにと思って、当社自慢の玩具の一部を是非、アリス・ヴァインツ嬢に」
「あら……お気になさらなくてもいいのよ。大事なお届け物を、して下さっただけなのだから。でも有難く頂戴しても?」
「ええ、勿論です。もしかしたらお気に召されないかもしれませんが……申し訳ない。僕は、女性にどんなものを送れば一番喜んで頂けるのか、まだ勉強中の身でして」
「伯爵はまだお若いものね。本当に、お気になさらないで? 私、どんな者でも殿方から頂く物はなんでも好きよ」


 包装されたプレゼントを快くアリスは受け取る。クライヴへ渡すと、彼は静かにそれを受け取り何処かへと持っていく。アリスがそれを見送ると、シエルへと顔を向けた。


「さあ、伯爵。今日は貴方の為に、素敵な御持て成しを用意させてもらったの。存分に堪能して下さいね」
「はい。もし、何か手伝えることがあればうちの執事をお貸ししますので、遠慮なく」
「ふふ、結構よ」


 威圧的な彼女の返答に、シエルは不敵な笑みを浮かべた。

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