第22章 独占
「セバスチャンが守るべき対象は、シエルでしょ。それを間違えないで」
「間違えて等いません。それは必須事項ではありますが……私が本当に守りたいものとは異なります」
悪魔が囁く。
「私だけが、貴女の傍にいます。けして離しはしません」
抱き抱えられ、ふわりとベッドにアリスは沈む。
「アリス、貴女は私のモノです」
セバスチャンの舌が、アリスの首筋を這う。ぴくりと反応を見せながら、何処か虚ろな瞳でアリスは天井を見つめた。
――これで、私の今までの復讐は遂げられたの?
けれどもうそんなこと、どうでもよかった。何もかもが全て、再び彼女の手の中から滑り落ちた。使用人も、執事も、屋敷でさえも。残ったのは自分自身。セバスチャンの囁きに耳を傾け、抵抗する意思さえない。大人しい彼女に、セバスチャンは不敵に微笑んだ。
セバスチャンがアリスの太腿を撫で上げる。
そこにはまだ、悪魔との契約印を残しながら。