第22章 独占
「さて、私はこれでチェックメイトになりますが……どう致しますか? トランスさん。今此処で貴方の背後にいる黒幕を教えて死ぬか、とりあえず死ぬか。好きな方をお選び下さい」
「それは、どっちも死ぬじゃねぇか」
「そうですよ? 堕天使に与えてやる選択肢など、一つで十分でしょう? いいじゃないですか。死ぬということを、選択できるのですから、自ら」
「けっ……馬鹿にしやがって!!」
セバスチャンは男に刃を突き付けたまま、アリスへと視線を向けた。
「さあ、チェックメイトはキングの役目。この場にいるキングは貴女。どうぞ、チェックメイトを」
「……トランス、どちらにしても貴方には女王の憂いを晴らす為、背後にいる黒幕を吐いてもらう必要があるわ。全てを終わらせろ、それがこの英国ヴィクトリア女王陛下のご命令」
「そうかい……あんたはめでたい人間だな。未だ何も知らない、知ることも出来ない……何故なら」
男は懐からスイッチのようなものを取り出し、不敵に笑んだ。それを見た途端、セバスチャンは慌てて男に切りかかる。
「もう何もかも遅いんだよっ!! お前らがここまで辿り着いた時点で、俺らに生き残る意味なんてないんだからな! 天使も爆発には耐えられまい!? 死ねッ!!!」
一歩遅かったようだ。男はスイッチを押し切る、同時にセバスチャンの剣に切られ息を引き取ってしまった。結局、奴らの背後にいる者を知ることは出来なかった。