第18章 悪戯
「さて、一番最初は坊ちゃんの部屋ですね」
「どうしていきなりシエルの部屋!?」
「さあ? 何故でしょうね」
セバスチャンは胸元から王冠の鍵を取り出し、すぐさまシエルの部屋の前に着くと鍵を差し込み回す。かちりと音を立て、開いた合図を聞くと瞬時に扉を開け真っ暗な室内へと入り込む。
追いかけてきたかのように、足音が通り過ぎる。微かに「おい誰もいないぞ」という声も過ぎていく。どうやら、いつの間にか後をつけられていたらしい。
それもそうだろう。セバスチャンなら、全てのお菓子の場所を把握していてもおかしくはない。ただ、もしそうだったとしてもこの場にいる者達がこの悪魔から、お菓子を強奪出来るかは定かではないが。
「坊ちゃんのことですから、一つはこの部屋の枕元。まあ、ここは私しか入れませんから当然何か仕掛けが……」
「遅かったな、セバスチャン」
「坊ちゃん!」
ベッドの下から出てきたのはシエルと、洋服の皺を整えているエリザベス。アリスは思わずエリザベスに近づき、洋服の乱れを直してやる。
「あ、ありがとうございます……」
「いえいえ」
「おいそこ、和むな」
シエルにツッコミを入れられ、渋々アリスはセバスチャンの方へと戻っていく。