第18章 悪戯
「何事ですか?」
「……さあ」
セバスチャンとアリスは、踊るのをやめ暗闇の中互いの手をしっかりと握った。何が起きている? 侵入者でも現れたか? 混乱し始める中、シエルの凛とした声が響いた。
「今から屋敷内、蝋燭を灯す。それと同時に、今ペアでいる相手とファントムハイヴ家のハロウィンパーティーの本番を始める。屋敷内に隠されたお菓子を多く探し出したペアは、優勝景品として一つ願いを僕が叶えてやる。もし、探している途中に何処かのペアと遭遇した場合は奪い合っても構わん。制限時間は一時間!」
ふっと、蝋燭が灯る。
「始めっ!!」
一斉に人々が会場から飛び出していく。セバスチャンもアリスの手を引き、すぐに会場を後にした。
「セバスチャン! 何処に向かうわけ!?」
「そうですね、私の知らないところで密かに準備されていたイベントのようですからね……流石の私も正確な場所までは把握しておりません」
「なら無闇に動き回らない方が……っ」
「いえいえ。ファントムハイヴ家の執事たるもの、隠されたハロウィンのお菓子を探し出せなくて、どうします?」
「うわっ!」
突如、セバスチャンが彼女をお姫様だっこをして廊下を走る。廊下を伝って、様々なところから「見つけた!」など「待て!」など悲鳴も合わせて聞こえてくる。既に、戦いは始まっているのだ。