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黒執事 Blood and a doll

第16章 南瓜



「女王もわざわざ返事など送って下さらなくとも……」


 手紙の内容はとてもシンプルだった。アリスへの監視を続けて下さい、とのことだった。監視といっても事細かく彼女の動きを報告しろなんてものではないのだが。女王は何を考えているのか……そう思うシエルだった。


「坊ちゃん! 大変ですだ!!」

「どうかしたのか……?」


 シエルの部屋まで焦った様子でやってきたのは、メイドのメイリン。


「その……厨房で、その……」

「セバスチャンはどうした? 確か、庭にいたはずだが」

「はっ! で、ではセバスチャンに報告してくるだよっ!!」

「ああ、そうしろ」


 出て行ったメイリンを眺めながら、シエルは心の中で何もないといいなと思うのだった。しかし、彼女のあの様子からしてきっと何かあったに違いない。ファントムハイヴ家の使用人は、とても個性揃いだ。

 それは良し悪しを含めて、なのだが。



 庭の手入れを終えたセバスチャンはようやく屋敷へと戻った。並ぶかぼちゃを眺めて、次の仕事へ移ろうと考えていた頃。


「セバスチャンさぁあああああああんっ」

「どうかしましたか? メイリン」


 ――またですか。

 頭痛がしそうな思いで、とりあえずメイリンへ事情を聞くことに。


「厨房が大変ですだ! りょっ、料理が……!」

「……!!」


 話している最中に、大きな爆発音。

 セバスチャンは一目散に厨房へと走る。到着した頃には、もくもくと煙を上げる厨房。セバスチャンに眉間に皺が増えた。

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