第14章 孤独
「忘れないことね。一人にならないことを考えるんじゃなくて、自分から輪の中に入っていくことを」
その言葉を最後に、私は白い光に包み込まれた。
「あ、起きた?」
「……誰」
「名乗ったと思うけど? チャールズ・グレイ。まだ高熱が続いているみたいだから、意識なんか戻るわけないと思っていたけど案外そうでもないんだね」
「助けて……くれ、たの?」
「勘違いしないでほしいな。別に助けたわけじゃないんだけど? まぁ、お仕事ってやつだよ」
一体何のお仕事なんだろう? 辺りを見渡すと、白い天井に白い部屋が広がっていた。病院? とも思ったが、独特の消毒液の匂いはしなかったので違うのだと感じた。
「ここはどっかの民家。今街中では爆弾騒ぎで、民家は空のとこが多いんだよね」
「爆弾……? なんで、そんな……物騒な」
「さあ? 確かラビットファミリーが誰かとやり合っているらしいけど」
「……っ!」
きっとそれはミカエルとだ! 行かなくちゃっ……。
「何起き上ろうとしてんの?」
「行かなくちゃ……私っ」
「やめておきなって」
「でも……!!」
視界が赤に染まった。
突然の痛みが、お腹から全身に伝わる。視線を下げば、お腹に鋭い刃が突き立てられていた。ゆっくりとグレイさんの方を見れば、つまらなそうに剣を握ってぐりぐりと私のお腹を更に抉る。
「――がッ……!!」
「大人しくしていてよね。この愚図」
「っ……――!」
「ボクが折角助けてあげたのに、台無し」
ベッドが真っ赤に染まる。彼は私にゆっくりそのまま近づいて、耳元に唇を寄せた。
「早く、天使になってよ」
それが何を意味しているのか、流石の私も理解した。