第14章 孤独
このまま死ぬってことは、私はどうなるの? ここで終わるの? それは嫌だ、私だって……ちゃんとやれるんだってところを、見せないと……。
音だけは鮮明に聞こえる。遠ざかる足音と、近付く足音にだけ耳をすませた。
二つは確かに交差したはずなのに、互いに言葉を交わすこともしない。仲間だから? けれど、近付いてくる足音が私の目の前で止まると「ねぇ」と声をかけてきた。
「死ぬの? ここで」
声が出ない。
「死にたくないよね? まぁ、どっちでもいいんだけどさ」
生きていたい、死にたくない。助けて……。
「ボクはチャールズ・グレイ。さて、行こうかアリス」
知らない人は、私の名前を呼んだ。身体が宙に浮く感覚がしたけど、そこで完全に私の意識はなくなった。
深い深い闇の中で、右も左もわからないまま。私は歩いていた。ふと、分かれ道のところに見慣れた赤い死神が立っていた。
「あんたって、本当に世話のやけるタイプの人間ね。でもね、そういう女って嫌われるのよ!?」
「へぇ……」
「何よ、冷たい返事ね。色々と誤算があってね、あんたの魂を数日監視することになったわ。つまり、死ぬのか生きるのかまだわからなくなってきてるってことよ」
「そっか」
「だから、どうしてそんなに反応が薄いわけ?」
私はいきなり自分のスカートを捲って、太腿を確かめていた。何を? と聞かれると、上手く答えられないけど。