第13章 死神
「死ぬ……わ……けにはっ、いか……ないっ!」
「……。別にあんたが今ここで、諦めることをやめたって誰も咎めはしないわよ。頑張って生きようとするだけ、あんたは苦しむことになるわ。それでもいいわけ?」
必死で首を縦に振った。
私の人生が大したことないだなんて、他人に言われたくない。確かに、幸せだったとは言い難いけど……それでも両親をなくした私は、これでも生きることに必死だった。
一人は寂しい、けれど……今ここで死んでも、両親の元にいけるなんて保証もないでしょう? だったら、死ぬなんて嫌だ。
「ミカエル……っ」
ねぇ、聞こえないの? ねぇ……。
「ふんっ、そんなに苦しみたきゃそうしなさい。また、来るわ」
至極つまらなそうに、グレルさんは私を見下ろしたまま煙のように姿を消した。ほんとに死神、なのかな。人間じゃないのは確かか。
「っ……――」
ぐっと胸元を握りしめる。呼吸をするのも辛い、冷たい鉄の床がどんどん体温を狂わせていくようだ。
ミカエル、聞こえているなら返事をしてよ……!!
「ああ、こんなところでお昼寝ですか? アリスお嬢様」
「……みか……える」
朦朧とした意識の中でも、何故か彼の不敵な微笑みと血のように赤い瞳だけは、鮮明に映った。