第95章 気持ちと記憶の整理の時間
「だが、
結婚相手にいいと噂されていたのは本当だ。
彼は自分ではモテていないと言い張っていたが、
実際そんなこともないだろう?」
「だと思います……
きっと、本人が気付いていないだけで。」
実は、モブリットが他兵団の女の子からも
熱い視線を送られていたのは見たことがある。
モブリットのことだ。
きっとさり気なく優しくしたことが
あるんだろう。
いつも真面目で、
仕事中は殆ど笑顔を見せることもなく、
如何にも硬派そうな印象なのに。
それでもいざと言う時は男女問わず誰にでも、
自然に気を遣える。
そんな男の人なんて、なかなかいない。
あからさまな下心丸出しで、気の遣える男なら
どの兵団にも多くいるが……
「凛の目にも、彼は結婚相手にいい男だと、
そんな風に映っているのか?」
「……そうですね。
まず、間違いはないと思います。」
「その根拠は?」
そこまで掘り下げて聞かれるとは思っておらず、
少し不意を突かれた気分になるが、
軽く目を瞑って、
モブリットのことを考えてみた。