第95章 気持ちと記憶の整理の時間
「モブリットがヤケに気にしておったからな。
君の曾祖父が、元の世界に
帰らなくてはならなくなった理由を。
だからワシも、
最近は彼のことを思い出そうと、
色々画策していた訳だ。」
「……あれ、いつの間にモブリットと
そんな話をしたんですか?」
「すまない。
実は君より先に、モブリットと呑みに行った。」
「え?!モブリットと?!」
「ははは、きっとそんな反応をされると
思っておったよ。」
ピクシスは楽しそうに笑い、
ついでの様にウイスキーを口に含んだ。
「彼は本当に、
見た目通りの誠実さを持つ青年だな。」
「……そうですね。」
ふとモブリットのことを思い浮かべると、
自然と頬が緩む。
「きっとああいう男と結婚すれば、
幸せになれるんだろう。」
「ピクシス司令でも、
そんなこと考えるんですね。」
「ワシの側近が
そんなことを言っておったからな。
面倒見がいいし、周りのこともよく見えてる。
協調性もあるが、
自分の意思もしっかり持っていて、
真っ直ぐした太い芯が通っている。」
「……側近の方、すごいですね。
ほんと、よく見ておられる。」
「まぁ、そう思ったのはワシじゃが。」
悪戯っぽく笑うピクシスに釣られて、
思わず吹き出した。