第94章 キスの相手
「久し振りに会うモブリットなら、
君も先入観から入らずに
接することが出来るだろうと思って、
モブリットに君の話をしたんだ。
正解だったようだね。」
「……うん。だね。」
それだけ答え、
昨日のことを少し思い出しそうになるが、
今思い出すと
また熱が上がって来そうな気がした。
小さく首を振って、想像力を掻き消す。
「エルヴィン、相変わらず私の事、
私以上に分かってるよね。」
「ああ。
君はいつも、自分のこと以上に分かり易い。」
冗談っぽく小さく笑みを溢すエルヴィンに
頭を軽く撫でられ、
自然と至近距離で視線が合う。