第94章 キスの相手
「エルヴィン。
何でモブリットに言ったの?」
次の日の朝。
朝食を届けに来てくれたエルヴィンに
問いかける。
モブリットは
最近朝にも自主練をしているらしく、
既に部屋を出た後だった。
「ああ、その様子なら、
やはりもう大丈夫だったみたいだね。」
「……大丈夫だったみたい……?」
「いや、君は多分、
先入観に囚われているんだと思って。」
「先入観?」
「薬で身体がおかしい。
性欲を満たすことばかり考えてしまう。
満たすためには抱いてもらわないといけない。
そう、自分を納得させているんだと。」
エルヴィンの言葉を聞いてハッとする。
囚われていた、確かに昨日、
自分もそう思った瞬間があった。