第10章 どうしても気になる女
くそ……、墓穴を掘った……
せっかく上手く立ち回れそうだったのに、
この女……
思わず歯ぎしりをしそうになるのを
堪えながら、ゆっくり下を向き
団長から視線を逸らした。
「ジャンはツッコミが冴えてるんだな。」
「そうなの。
いいツッコミしてくれるから、
ついボケたくなる。」
女はクスクスと肩を震わせて笑い、
団長は俺が鋭くツッコミを入れたことを
特に気にする様子もなく、少し頬を緩めている。
こんな反応をするってことは、
この女は団長の恋人って訳でもねぇのか……
もしこいつが団長の女なら、
さっきの俺の発言を聞いて
頬を緩めたりなんてしないだろう。
さっきまで自分がしていた憶測が
覆ると共に、どこか少しホッとした。