第2章 モブリットの疑問
「……凛さん。
指、痛くないですか?」
モブリットは
ノートにペンを奔らせる凛に声を掛ける。
彼女の中指に出来たペンだこは、
ペンを持つのに
支障を来すんじゃないかと思ってしまうような
腫れ方をしていた。
「ああ。大丈夫だよ。
多分ペンの持ち方が悪いんだろうね。」
凛は特に気にする様子もなく、
ペンだこを一瞥した後
またすぐに教科書へ視線を落とした。
「……モブリットは優しいね。」
呟くような声量で声を掛けられ、
返答に迷っていると
教科書に向いていた視線が自分の方へ向く。
「いつもありがとう。」
この言葉は凛さんに
毎日言われ続けている言葉でもあるが、
言われる度に温かい気持ちが込み上げた。