第2章 モブリットの疑問
彼女の座学での呑み込みの速さは、
兵士の中でも群を抜いていた。
元々かなり賢い頭を
持っているんだと思う。
でも、一度教えればもう二度と
同じことを教える必要がないのは、
彼女が毎晩睡眠時間を削ってでも
予習・復習を怠らない
努力の賜物だということはよく分かってる。
彼女はそんなことを言わないし、
ちゃんと寝てると言い張っているが
異常なまでに書き込まれた教科書や
使い古されたノート、
短期間で出来たペンだこを見る限り、
夜な夜な勉強に励んでいる事は
容易に察しがついた。
……と言っても、彼女は兵士ではないし、
この世界の住人でもない。
それなのにここまで必死になって
この世界について学ぼうとする姿勢は
心を打たれるものがあった。