第10章 どうしても気になる女
「凛を助けてくれてありがとう。
彼女が一人で無事に帰れるか心配で
付いて来てくれたのか?」
「は、はいっ!」
理由は少し違うが、
団長の少し穏やかになった声に反応し、
すかさず返事をする。
「そうだったんだ……なんか色々ごめんね。」
色々……か。
まぁ色々謝りたいのはこっちでもあるけど、
さすがそれを団長の前で言う訳にはいかない。
俺に軽く頭を下げた女の笑顔を見て、
硬くなっていた筋肉が少し和らいだ気がした。
「だが、訓練兵なのにこんな時間まで
出歩いていていいのか?」
「今日は休暇日なので……
これから兵舎に戻れば大丈夫です。」
「そうか。それなら良かった。」
団長もこんな表情をするのか……
団長の少し緩んだ頬は、
最大まで速くなっていた自分の鼓動を
徐々に落ち着かせた。