第88章 穏やかな時間
「よがり狂うのを楽しみにしている、
と言ったのは俺の方だからね。
実際、本当に楽しませてもらったよ。」
「……本当に?」
「本当に。」
疑い深い視線を送られ、
何をしても彼女が可愛くて仕方なくて、
行き場を失った感情をぶつけるように、
額にキスを落とす。
凛の驚いた表情が目に留まった。
俺としては、これでも我慢した方だ。
いつもなら、強引に唇を奪っている。
「……そんなことして、
また欲情したらどうするつもり?」
「また身体を重ねる。それだけだ。
俺にとっては快楽でしかないから、
それでもいいよ。」
恥ずかしそうに胸元に顔を埋めてくる
凛を抱き寄せ、
ゆっくり目を瞑ると、
もうこのまま彼女と離れたくない、
それ以外のことが考えられなくなる。
それくらいこの体温が愛おしかった。