第10章 どうしても気になる女
「あ。さっきの訓練兵。」
おい!
早速俺の情報をバラしてんじゃねぇよ!!
焦る心中で女にツッコミを入れながら
団長に深々と頭を下げる。
まだ言い訳は思いついていないが、
兎にも角にも敵意がないことを表すべきだろう。
「訓練兵?」
「……実は、私がナンパされて
連れて行かれそうになってたところを、
彼が助けてくれたの。」
「凛……
こんな時間に一人で外をフラつくからだろう。
ここは君のいた場所より、
もっとタチの悪い連中が多いんだ……
いつも言っているが、
君はもっと自分の身を案じてくれ。」
「……ごめんなさい。」
特に何の自己弁護をする訳でもなく、
女は素直に団長に頭を下げている。