第10章 どうしても気になる女
「こんな時間まで何処へ行ってたんだ?」
「ちょっと散歩に……」
嘘が下手か!
俯く女に、思わず心の中でツッコミを入れる。
「散歩……か。
その散歩には、男が付いて来たのか?」
団長のその発言に、身体が小さく震えた。
もしかして、俺がここに隠れてることが
分かってんのか……?!
いや、でもずっと木の陰に隠れている訳だし、
この薄暗い中で俺の姿が見える筈が……
「しっかり見えてるぞ。早く出て来い。」
心の声に話しかけられるような
言葉を掛けられ、再び身体がビクつく。
……これはもう逃げられないだろう……
腹を括るしかない。
心の中でここに居る言い訳を考えながら、
ゆっくり木の陰から顔を出した。