第83章 落ち着かない日
「どうせエルヴィンに
骨抜きにされているんだろう?
そんなにあいつは上手いのか?」
これにはどう答えても、
自分が墓穴を掘る可能性がある。
何も言わないままで様子を見る。
「貴族の娘たちの間で、エルヴィンの行為が
如何に桁外れかは聞いているんだ。
君もその技法に惑わされている一人だろう?」
「……すみませんが、
何のことを仰っているのか」
「大丈夫。私も君を満足させるものを
もっているからね。」
まるで話にならない。
というより、
この人は私の意見を聞く気が端からない。
相手は自分よりガタイの良い男だが、
もう強く抵抗する以外に、
ここから逃げ出す方法はないだろう。
上手くいく自信はあまりないが、
男の股間めがけて膝を振り上げた、その時。
首筋に小さな痛みが奔った。