第10章 どうしても気になる女
その上、自分が訓練兵だということも、
訓練兵のクセに、休みの日には
憂さ晴らしにナンパして
女を抱いていることすらもバレてしまった。
それなのに自分はあの女のことを
何も知らないままだ。
不公平にも程があるだろ……
このまま何も分からない状態で帰るなんて、
自分のプライドが許さない。
それに、どうもあの女のことが気になった。
今までナンパしてきた女とは全然違うし
訓練兵の仲間とも違う。
どこがどう違うのか具体的に言ってみろ
と言われたら困るが、
とにかく、あの女の行動も反応も話も、
何もかもが新鮮に思え、
またそれが面白くも感じていた。
もし着いた先であの女の弱みでも握れたら、
また“デート”にでも誘うか……
そんな下衆いことを考えつつ、
足音を潜め、女の後を追った。