第9章 お礼の方法
「お前……笑いごとじゃねぇだろ?」
「そうだね。
でも今回は未遂に終わった訳だから。
しかもどっちかって言うと、
君が被害者みたいな感じだし。」
私の緩んだ口元を見て
眉間に皺を寄せる彼に笑いかけると、
彼の顔が少し綻んだ。
「あ。笑うと可愛い。
馬面でも、そっちの顔の方が絶対モテるよ。」
「余計な世話だ!」
素早くツッコミを入れられ、
思わず小さく吹き出す。
それと同時に、
彼の顔から今日一番の笑顔が零れた。
「ほら!やっぱそっちのがいいよ!!」
彼のあどけない笑顔が、
自分の気持ちを高揚させ、
自然と声が大きくなる。
「おねぇさん、変な女だな……」
「君に言われたくないけどね。」
すかさず言い返すと、
彼は顔を綻ばせたままフッと息を漏らした。