第76章 過去と今の差し替え
「……これ、結構アルコール度数高いでしょ?」
「なんだ。もう酔ってきたのか?」
「まだ大丈夫だけど、
早々に酔いそうな予感がしてる。」
酒には弱い方ではないけど、
三杯目にして、少し身体が火照っている。
このまま飲み続ければ、
深いアルコールの虜になり、
きっとミケに絡むことだろう。
飲むペースを落とした方が良さそうだ。
酒のあてに出されたブリーチーズを指先で抓む。
口の中に入れた瞬間、
濃厚でクリーミーな味わいが
口内を心地よくさせた。
濃い味なのにクセがなく、
咀嚼の度にもっちりとした触感と
まろやかな口当たりが押し寄せてくる。
「このチーズもすごい美味しいよね。
お酒にもよく合うし。
これは自分で調達するの?」
「……それも貰い物だ。」
ミケの表情は、ワインを誰から貰うのか
と聞いた時と同じく、
あまり楽しそうな表情ではない。