第73章 心配しないで、の伝え方
心痛の色が窺えるエルヴィンの頬を
優しく撫でる。
その表情を隠すように瞼は閉じられ、
替わりに優しく頭を撫でられた。
前回の時から、私の涙について
かなり気にしていたようだから、
今回もこうして私の涙を見てしまったことに
心を痛めているんだろう。
エルヴィンにどんな言葉を掛ければ、
大丈夫だということが伝わるのだろうか。
……いや、そもそも
“大丈夫”と言う訳ではない。
毎回意識は朦朧とするし、
身体は宙に浮いている気分になる。
勿論したことはないが、
クスリをやっている人たちは
きっとこんな状態を味わっているんじゃないか
と思ってしまうような
これ以上ない恍惚が全身を支配し、
痙攣が止まらなくなる。
この有様は“大丈夫“ではないだろう……
それでも、
この恍惚感から離れられそうにない。
……色々恥ずかしいセリフを
吐かなければならなくなりそうだが、
言うしかない。
満を持して、口を開いた。